第8回                         病院で人の死が決まる瞬間についてNo2

前回は、病院で人が亡くなるまでの一般的な流れをお伝えしました。

何回も繰り返していますが、心臓や呼吸が止まってもDrの確認が無ければ死亡したことにはなりません。今回はこのことがなぜ大切なのかお伝えしていきたいと思います。

心情的なことからですが、患者さんの心拍の停止後にご家族の来院があって、Drから死亡を告げられる場合と

心拍の停止後ご家族の来院前にDrによって死亡がすでに確認されていた場合、あなたならどちらがいいでしょうか。前者の方が良いと感じる方が多いのではないでしょうか。

死の直前、ここで重要なのが、看護師等の役割です。それは、いつご家族に連絡して病院に来ていただくかです。連絡が遅く、ご家族の来院が心拍の停止に間に合わないと自責の念を感じます。逆に早すぎると、ご家族の負担が増すことが考えられます。

亡くなることが近いと感じられる患者さんと接しているときは、常にこの思いの中、他の仕事も含めて行っています。

次に、目線を変えます。お金の話です。

病院の入院費は日付変更と同時に1日の入院費が発生します。死亡診断が23時59分か00時00分かで変わるという事です。

「亡くなる時に、そんな時間になることはなかなかないでしょ」と思われた方、わかります。ですが、死亡診断がご家族の来院後に行われるとしたらどうでしょう。つまり、来院時間によって時間が変わりやすくなります。家族の行動で、「死亡の時間」が変わってくる実際がここにあります。

お金の話でしたね。もし、亡くなる方が働いている方だった場合、一日の給料より、入院費が高いのなら死亡診断は00時00分の方がいいですよね。その人が投資なんかしていたら気をつけないといけないですね。

今回の話の結論は、心拍停止が人の死ではない。人の亡くなる瞬間は、Drの死亡確認をしたときで、その時間は、けっこう幅を作ることができるという事でした。

ここで補足です。日本で人の死亡を確認できるのは、医師です。その時に書類を作成します。上記のような場合は、死亡診断書です。もう一つ死亡を確認したときの書類があります。それは、死体検案書といわれるものです。どんな時に作成されるものか、手っ取り早く言ってしまえば、殺人があった時でしょうか。

次回は、自身や親が亡くなった時に、死体検案書になる可能性がある事をお伝えしていきたいと思います。