第4回                         こんなに違う!DNARの有無で変わる人生最後の瞬間‼ No4

(読みやすいように前回と内容が同じ部分にマーカーを引いておきます)

前のブログでは、DNARの同意がなく、急変があり、蘇生を試みたけれど、できなかった場合を紹介しました。今回は、蘇生できた場合の実際をお伝えしたいと思います。

前回、前々回と同様に、皆さんにイメージしやすいように架空の患者さん、でる子さんとその家族に登場していただきます。

でる子さんの説明です。100歳女性。主な病歴としては、認知症、寝たきりの状態です。入院する前は、在宅でご家族と社会資源を活用しながら過ごしていました。ですが、最近肺炎になり入院しました。

入院時のDNARの同意を取る場面からです。一室に家族、Dr、Nsがいます。

Dr「治療はできる範囲で行います。ですが、高齢でもありますし、今回の肺炎がきっかけで入院中に最後を迎えられる可能性もあります。その時、蘇生つまり心臓マッサージや人工呼吸を希望されますか?」

家族(キーパーソン)「少しでも長く生きていてもらいたいし、それが本人の希望でもあるので希望します。」

Dr「わかりました。こちらの用紙に記入をお願いします。」

数日後、肺炎は改善し退院が3日後に決まりました。

Nsがでる子さんの部屋に放室。呼吸をしていない事に気づく。体温と脈を確認。暖かいが脈拍を触知できず、心音も聞こえていない。

直ちに院内に緊急コールをします。いわゆるコードブルーです。その場のNsはBLS(一般的な蘇生法)に基づき直ちに心臓マッサージを開始します。Dr含め多数のスタッフが集まってきます。心マをしていた第一発見Nsは、心マを他のスタッフと変わり、Drへ状況を説明します。スタッフが集まってくると同時に救急カート、AED、除細動器も持ち込まれます。Drの指示のもと、本格的な蘇生が始まります。

心マと人工呼吸が絶えず継続される中で、気管挿管準備、モニター装着、末梢ルート確保を行います。

これと同時進行で、ご家族へ連絡をします。

Ns「でる子さんの呼吸、心臓(これはモニターで確認した)が止まっています。今蘇生を試みています。焦らず慌てずに来院していただきたいです。」

ご家族「わかりました、今から向かいます。」

ちょっとここで止めます。私が家族だったら、入院している親族の心臓と呼吸が止まったと聞いたら平常心ではいられないと思います。ましてや、少しでも長く生きていてほしいと願っている家族ならです。家族が受け取るこの第一報の衝撃は、想像しがたいものだと思います。個々の状況によるので、ここでは省略させてもらいます。

ご家族が来棟するまで、蘇生が試みられます。必要ならば、手術室に行く場合もあります。

幸いな事に、心臓マッサージを始めて、5分後に蘇生し、15分後に状態が安定しました。

この5分間に気管挿管を行い、呼吸が呼吸器管理₁₎となりました。自発呼吸が乏しく、呼吸器の離脱(呼吸器をやめる事)は難しいです。左手には抹消点滴のルートが留置されています。自発呼吸が乏しいという事は、蘇生するまでの間で脳へのダメージがあったという事です。意識レベルも悪くなり、こちらからの声掛けに反応はありません。

HCU「(High Care Unit)日本語では「高度治療室」や「準集中治療管理室」と訳され、ICUと一般病棟の中間に位置するもの」や、スタッフステーションに近い部屋への移動が行われたりもします。

ご家族が来院されました。まず、蘇生を主導したDr又はNsが状況を説明します。その後、ご家族が入室します。

対面後、主治医より今後についての話し合いの場を設けます。

主治医「今回蘇生という状況が起こったことで、でる子さんの身体には相当な負担がかかりました。その際に呼吸器をつけました。正直、離脱は難しいです・・・」「現状のまま様子をみていくしかありません。」

長くなってきたので、今回は、ここまでとします。この続きが、かなりきつい内容となってきます。気分を害する可能性もあるので、次のブログの閲覧はお気を付けください。

いかがだったでしょうか。今回は、5分の蘇生で回復し、呼吸器管理となった場合の途中までを作成しました。

次回は、この続きになります。

₁₎呼吸器管理がどのようなものか、その具体的な動画があるので、必要ならば視聴をしてください。人によっては気分を害する恐れがあります。視聴は自己責任でよろしくお願いします。

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB/multimedia/video/%E7%B5%8C%E5%8F%A3%E6%B0%97%E7%AE%A1%E6%8C%BF%E7%AE%A1

※この状況は、あくまで、でる丸が今までの経験から想像した架空のものです。